美容看護師になるまで
塾長:まず初めに、簡単にAさんのご紹介をさせていただきます。Aさんは大学卒業後に2年間大学病院の内科病棟に勤務され、その後に美容外科クリニックに転職されました。今年で美容外科クリニックは3年目になります。今回はインタビューを受けて下さって誠にありがとうございます。
A氏:こちらこそ。よろしくお願いします。
塾長:新卒では大学病院勤務だったんですね。その辺りは、どのようなことを考えて進路を決めたんですか?
A氏:そうですね、私の場合は初めから美容看護師を目指していたわけではありませんでした。高校時代になんとなく安定していそうな看護師を目指して、看護大学を卒業して、そのまま大学の附属病院に就職しました。就職活動が楽だったので笑。
塾長:美容看護師を目指していたわけではなかったんですね。
A氏:というよりも、美容看護師という存在を知りませんでした。看護師と言えば病院に勤務して患者さんのお世話をするんだと思っていましたから。実習だって、医療美容の領域にはいかないじゃないですか、だから知らなかった。
塾長:では、どういったきっかけで医療美容の分野に進もうと思ったんですか?
A氏:病棟の看護師と言うのが自分には合わないと感じたんです。職場の環境がどうしてもなじめませんでした。先輩看護師は怖いし、お年寄りの方とお話しするのも苦手で。だから休職して他の病院を探そうと思って、その時に美容看護師を知りました。でも、当時はネットで調べてもどんな仕事しているのかわからなくて、転職も怖かったですね。
塾長:医療美容の道を知って、情報が不足している中でいざ進もうと思ったのはとても勇気がいることだったと想像します。きっかけはどんなことだったんですか?
A氏:「高収入で土日休み、夜勤なし」みたいなネット広告にひかれて笑。そんな広告、嘘だったんですけどね。それでも仕事の内容も病棟に比べたらそんなにきつくないだろうって思っていました。
塾長:なるほど、とにかく飛び込んだ、という形だったんですね笑。
就職活動について
塾長:美容看護師を目指す決意をして、実際にはどうやって仕事を見つけたんですか?
A氏:まずはインターネットです。求人サイトを片っ端から見ましたね。それで、3社くらいいいなって思うところがあって、そこを紹介してもらうのに転職サイトに登録が必要でした。正直、転職サイトって怪しいなって思っていたんですけど、担当してくださった方が美容クリニックへの紹介実績が豊富な方で、いろいろなことが聞けました。
塾長:それは当たりでしたね。具体的には、どのようなアドバイスを受けたんですか?
A氏:給与や勤務時間、福利厚生や教育体制、職場の雰囲気とかお客様の雰囲気など、本当に細やかに教えていただけました。実際に紹介してもらったクリニックも、教えてもらった情報と一緒だったので、本当に信頼できましたね。あと、面接の時に自己PRの用紙を提出する必要があったんですけど、書き方も事前に見てくれて、辞めた理由を長々書くよりもできる看護ケアをいっぱいアピールしましょうって言ってくれて。面接も同席してくれて、給料のこと私からは聞きにくいこともその場で担当者さんが聞いてくれました。
塾長:細やかなケアをしてくれたんですね。実際の面接はどのような形でしたか?
A氏:院長先生と主任看護師が面接してくれたんですが、それほど堅苦しい感じではありませんでした。なぜ辞めたか、ということよりも、クリニックで何をしたいか、将来はどうしたいのか、というようなことを聞かれました。後は、お客様は20~40代の女性が多いので、その方たちと接することは苦ではないか、とか。
塾長:クリニックに入って何をしたいか、確かにクリニック側はそこが一番聞きたいポイントですね。看護技術は入職してから身に付けてもらえばいいわけだし。
A氏:そうですね、私のところは新卒から入職する看護師もいるんですが、そのような方たちから比べたら臨床経験があることが有利に働いたみたいです。
就職してから現在まで
塾長:実際に採用になって、一日のお仕事はどのようなことをしているんですか?
A氏:私のところは朝の9時に出勤です。クリニックが開くのが10時なので、それまでに清掃とか、予約の確認とか、物品や薬剤のチェックをしています。10時からは受付業務と、カウンセリング、バイタル測定や点滴・採血、フェイシャルなどのエステっぽいケアも行います。お昼はだいたい12時に、看護師は交代で入ります。午後はレーザー治療とか、穿刺系の処置介助ですね、薬をつめたりガーゼで止血圧迫したり。手術日の場合は手術介助、器具出しとか外回りとかします。一通り終わったらカルテの整理とか、アフターケアですかね。18時にクリニックを閉めて、清掃と物品補充をして19時に帰ります。
塾長:そう聞くと、なかなか忙しそうですね。
A氏:忙しいです笑。「美容看護師は楽で高収入」って思っている人はいっぱいいると思いますけど、それは幻想ですね。本当に忙しいです。美容のことが好きじゃないなら絶対続きません。
塾長:ネット広告の「高収入で土日休み、夜勤なし」って、まあ夜勤はないとして、土日休みなんですか?
A氏:いいえ、むしろ働く女性は土日祝日に施術を受けに来ますから、土日が繁忙期です。
塾長:あとは高収入、ですか?
A氏:そこはどうなんでしょうね。病棟にいた頃は夜勤をして、もろもろ引かれて手取り25万円前後でした。今のところは夜勤なしでまあ、それくらいかな笑。あ、でもボーナスは多いですね、確実に。
塾長:なるほど、高収入っていうほどでもないのかな。
A氏:生活リズムはゆとりがあるので、そういう意味では高収入なのかな。あと、化粧品とか美顔器とか、そういうのが売れたら臨時でお金もらえますよ笑。
塾長:それは夢がありますね。仕事はすぐに慣れましたか?
A氏:病棟看護師とは全く別の仕事なので、慣れるまでは大変でしたね。手術経験もないし、美容機器の使い方もわからないし。3か月は自立できませんでした。でも、美容が好きだから続けられましたね、職場もいいところだったし。
将来について
塾長:やりがいのある仕事と、恵まれた職場なんですね。
A氏:はい、今はすごく楽しいです。
塾長:最後に、将来的には何か計画はありますか?
A氏:今の仕事は続けていきたいって思いますね。クリニックの先輩は皆さん綺麗で優しい人で、そんな人になるのが目標です。
塾長:なるほど、素敵な先輩たちなんですね。先輩看護師はどのような将来像をもっているんでしょう。聞いたこととかってありますか?
A氏:結婚・出産で抜けてしまう人も多くて、クリニックは若い人が多い印象です。ただ、うちは大手なので、本部に行って看護師を総括する人になったり、化粧品の販売会社に異動して活躍している人もいます。他のクリニックに移って看護師教育をしている人もいるし、美容とは関係ない皮膚科のクリニックに行った先輩もいます。美容看護師の将来性は全然あると思います。
塾長:なるほど、その情報はありがたいですね。Aさんはどのような道に進もうと思っていますか?
A氏:私は化粧品や美容機器の販売が好きだってことに気が付いて、将来的にはそちらの方へ転職したいとも考えています。美容クリニックにいると、そういう人脈ができるのでありがたいです。
塾長:素敵な将来像ですね。本当の最後に、美容看護師を目指す看護師へ、コメントをいただけますか?
A氏:美容看護師は忙しくて大変なこともありますけど、綺麗になって喜んで帰っていくお客様の姿を見ると、役に立てた実感が沸きます。コンプレックスとか、美容のことで悩んでいるお客様の夢がかなうのを間近で見ていると、元気がもらえます。患者さんのために働くことももちろん尊いと思いますけど、美容看護師は美容看護師の役に立ち方があります。私にとって美容看護師は、天職だと思ってます。きっかけは病院から逃げたことだったかもしれないけど、それが悪いことだとは思っていません。自分に合った働き方を探す勇気を、持ってもらいたいと思います。
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