こんにちは、塾長です。
今回は看護研究を量的研究で行うべきか、質的研究で行うべきか、という悩みにお答えします。
量的研究と質的研究の違いもご紹介していますので、ぜひ研究活動にお役立てください。
量的研究か?質的研究か?【3つの確認】
量的研究と質的研究、どっちをしたらいいですか?
いい質問だね。
答えは「アウトカムによって自動的に決まる」だ。
よくある間違いは「先に量か質かを決めて研究する」というもの。
そうではなくて、導き出したいアウトカムによってどちらの研究をすべきか決まってくるんだ。
前回決めた研究テーマでは、アウトカムは「術後疼痛」だったね。
この部分を深めてみよう!
前回決めた研究テーマ
「心臓パイパス術を受けた患者に対する主足浴が術後疼痛に与える効果: 清拭と比較して」
アウトカムの性質【3つの確認】
確認①: 術後疼痛を評価する際に
既存の評価尺度 (ex. STAS-JやNRSなど) を使用する ☞ 量的研究
既存の尺度を使用しない ☞ 質的研究 (新たに尺度を作りたいなら量的研究)
確認②: アウトカムの新規性は
ある程度似た研究がある ☞ 量的研究 (サンプルサイズが決められるから)
全く新しい研究である ☞ 質的研究
確認③: 研究結果で大切にしたいことは
患者の疼痛に関する共通点 ☞ 量的研究
個々の患者の個別性 ☞ 質的研究
研究で確かめたいアウトカムの性質を確認しましょう!
量的研究【統計方法の全体像】
そもそも、量的研究ってなんですか?
量的研究ていうのは、統計を使って結果を導く研究方法だ。
数量的に結果を導くから、客観的でエビデンス (根拠) がしっかりしているといわれているよ。
このセッションでは、統計方法の全体像を説明するね。
2つの統計学
① 推測統計学の全体像
② 記述統計学の全体像
- 平均・標準偏差などの統計量を算出する。
- 今あるデータから未来を予測する (回帰分析)
- ある事象が発生する原因を探る (因子分析)
詳しい統計分析のやり方は関連記事をご参照ください。
量的研究は統計を用いて結論を導く。
質的研究【対象者の特徴によって使い分けろ】
じゃあ、質的研究ってどんなものですか?
質的研究は気持ちやエピソードを分析する方法だ。
量的研究よりも客観性が乏しいけど、個人の思いを研究に反映できる特徴がある。
看護研究で用いられる質的研究の方法をまとめておこう。
質的研究の全体像
研究手法 | 研究の実際 |
---|---|
質的記述的研究 = 体験・思いについてインタビューし よく語られているコードや意義深い コードをまとめていく手法 | ① インタビューガイド作成 ② インタビュー実施 + 録音 ③ 逐語録の作成 ④ コード化 ⑤ サブカテゴリー・カテゴリーの作成 ⑥ 考察 |
現象学的研究 = 解釈学の理論に照らし合わせてある現象が 起こった原因をコード化・カテゴリー化 する手法 | ① インタビューガイド作成 ② インタビュー実施 + 録音 ③ 逐語録の作成 ④ 文脈理解、解釈学的手法に則ってコード化 ⑤ サブカテゴリー・カテゴリーの作成 ⑥ 考察 |
グラウンデッド・セオリー = 被験者の経験したプロセス・行動を分析 するアプローチで、インタビュー・観察 した内容を一般化する手法 | ① インタビューガイド作成 ② 観察・インタビュー実施 + 録音 ③ 逐語録の作成 ④ 文脈理解、解釈学的手法に則ってコード化 ⑤ コードをつなぎ合わせて概念化 ⑥ 考察 |
エスノグラフィー = 集団の習慣・風土・風習に倣って まとめていく手法 | ① インタビューガイド作成 ② 研究者がよく知っている現場でインタビュー実施 + 録音 ③ 逐語録の作成 ④ 現場ならではの習慣に則ってコード化 ⑤ サブカテゴリー・カテゴリーの作成 ⑥ 考察 |
詳しい統計分析のやり方は関連記事をご参照ください。
質的研究は対象者の特徴によって使い分ける。
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